Leonardの取材

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「自分なりの価値はどこにあるんだろう」『知性ある日本』を目指す発信者、栗本拓幸氏

初回の取材は、私が生徒会活動を通じて高校時代にお世話になった栗本拓幸氏。

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栗本氏

 

全国高校生徒会大会の実行委員長や生徒会支援協会の理事として、高校在学時から精力的に活動されていた栗本氏は、現在更に活動の幅を広げ、「知性ある日本」をコンセプトに、Liquitous Corp.設立などを務め、Youtuberや教育系ファシリテーターなど多様な形で発信を続けている。

1999年生まれ、慶應義塾大学総合政策学部SFC)在学。「知性ある日本」をコンセプトに、統治機構改革、行政におけるテクノロジー活用、若者の社会参画などの分野で研究と実践。NPO法人Rightsをはじめ複数の法人で理事他、液体民主主義の社会実装を進めるLiquitous Corp.設立など。YouTuber、教育系ファシリテーターAO入試のアドバイザーなど。*1

栗本氏のホームページ:

http://hiroyuki-kurimoto.jp/

 

そんな栗本氏へのインタビューは、2回分に分けてお届けする。今回は栗本氏の活動内容について、メインに取り上げることとする。

 

 

【質問:掲げるコンセプト・キーワードについて】

  • 「発言者の名前)発言…」という形式は、取材時の言葉のまま使用。それ以外は適宜要約しています。

 

質問)

 私の中での栗本さんは、高校のころから一つのをもって、ぶれずに活動されているというイメージがあります。現在のコンセプトは「知性ある」という部分だと思います。

 日本の政治の無知性化が叫ばれる中で、そういった意味合いでの「知性」を掲げていらっしゃるのですか。あるいは独自の意味合いの知性を使っていらっしゃるのですか。

 

栗本氏)

 知性という言葉で伝えたいことは、よく言われるものに「理性」「感性」があって、感性だけではもちろん物事は動かないし、かといって人は知性だけでは動かない中で、ではそれらを掛け合わせると何になるんだろうと考えたときに、それが「知性」だと思う。

 原理主義的に理論が整っていればいいかというとそうでもないし、インフルエンサーのように、エモいことだけが正義か、というとそんなこともない。それらをうまく組み合わせていかなければいけないので、知性ある、というコンセプトを使っている。

何のために(活動を)やるのかと言われれば、自分が生きる社会をより良くしたいということになるのだろうけれど、より良くするときにどうするかというと、知性だけでも感性だけでもなくて、第三の道として知性がある。

 

 また、栗本氏には、多数政権下での国会運営や、東日本大震災からの復旧を巡る国会の審議等を見たときに、社会全体が持ち得る力全てを発揮しきれていないと感じる機会が多かったという。

 「日本国内または海外において右派左派コンサバポピュリストなどの対立というところが日々強くなっており、ことなる思想やバックグラウンドを持つ者同士の対話をする可能性がなくなっている。その原因を特定の政党や政治家に帰することは出来ないが、全体として、国や社会のために何が出来るかというよりは、党利党略で会ったり、俗人的な利益だったりを追い求めているように見える。」と語る栗本氏なりのアンチテーゼとして、「知性」という言葉を使い始めたようだ。

 

 

古代ギリシアアリストテレスは、著書『弁論術』において「ロゴス・エトス・パトス」の三つを掲げ、それら三つを訴えることで他者の行動や気持ちを動かすことを主張した。全世界的に、ポピュリストや原理主義的な主張が台頭する中で、栗本氏のコンセプトである「知性」は、我々の社会の意思決定において今一度見直されるべき概念ではないだろうか。

 

 

 続いて、栗本氏は液体民主主義(リキッド・デモクラシー)の社会実装に携わり、Liquitous Corp.のファウンダーとしての活動もされていることから、液体民主主義の概念と、液体民主主義の社会実装にあたってどのような目的を持っていらっしゃるのかについて伺った。液体民主主義の概念自体は多くの読者の皆様が所見であると認識している。どのような意味の言葉であるのかを含めて伺ったので、力まずに読んでいただければ幸いである。

 

質問)

 液体民主主義は、僕なりに、一人一人が社会の成員として社会の進む方向を決めていく中で、参加自由型かつ、直接的に意思決定に関わっていくという概念だと解釈しましたが、どうでしょうか。

 

栗本氏)

 それはおっしゃるとおりで、まず液体民主主義の試みというのはもともとアイスランドやドイツなどで2010年代の初頭にあって、一旦潰えている。

 ただ、液体民主主義の考え方でいいなと思ったのは、第一に参加型であること。

 一部の人間であったり、一部の選ばれた人間だったりだけが参加するのではなくて、あらゆる人間が意思決定の段階に参加できる。

 第二に、各々の個性を最大限に伸ばせるスキームであること。

 これは大きく二つに分けられて、まず、各々の知見であったり経験であったりの専門性を伸ばせる制度だということ。基本的な液体民主主義というのは、オンライン上のプラットフォームがあって初めて存在するものであると。であれば、現在は若年層と高齢者の投票率の差というのが問題になっているわけだけれども、それは別に世代間格差の問題を取り上げて煽るのではなくて、世代に関係なく、知見や、いいアイデアや意見を持っている人間が参加しやすくなればいいかな。そのときに、オンラインのツールを使うことによって、より多くの人間にとって参加しやすくなるのではないかなと思う。だからより専門性が発揮されやすくなる。

 その二点で、液体民主主義によって、社会の成員である個々人が、自らの専門性を世の中のために発揮できるのではないかなという可能性を考えて、液体民主主義に首を突っ込んであるところでは、ある。

 各々のユニークネス、または個性を発揮できることはすごく重要で、今は等しくじゃあこれをみんな考えて下さいねというか、等しくやってくださいねということが政治参加において求められると思うけれども、この分野に関して意見があるとか、この分野に関してだけ意見があるという各々の個性や専門性が発揮しにくい環境ではある。既存の政治の枠組みでは、なかなか新規参入をしにくいので、新しい政治参加の形もあってもいいのかなと考えているところではある。

 

質問)

 なるほど。ありがとうございます。国という大きなサイズの枠組みだけでなく、色々な規模のコミュニティの意思決定に繋がる液体民主主義を目指されているのかなと思ったのですが。

 

栗本氏)

 大きな文脈でいえば、少子高齢化の流れがある中で、今の国力を維持するのならば、より参加して貢献することが求められる。となると、その参加のハードルを下げたほうが、多くの人が参加することになる。液体民主主義のようなコンセプトに従って、より多くの場所で各々が参加できるようにしたら面白いのではないかと考えているという文脈が一つ目。

 二つ目は、最近は自治会であったりPTAなどの地縁組織が解体されていたり、投票率の問題にも関わってくるけど、自分がどこかのコミュニティに所属しているという感覚がなかなか得られなくなっている。自分が何かしらのアクションをできる機会が担保されていないと、コミュニティに所属しているという実感が得られない。しかし、三次元物理的な世界で会議など議論に参加するのはハードルが高い。もちろん最終的にはそこを目指すべきなのであろうが、step by stepで、段階を踏んでまずはオンライン上でなにかにいいねするでもいいし、何かを書くとか、議論するでもいいんだけれども、その中で実際の社会のコミュニティと何か接続できる階段があればいいかな。

 色々なコミュニティや組織中において、その成員たる人間が、コミュニティに参加するきっかけを作ることが出来るのではないかなと。それはもちろん国政レベルだけではなくて、地方政治でもいいし、どんな組織でもいいけど、コンセプトとしてそういった意思決定の形もいいのではないかという提案ではある。

 

 

―液体民主主義は、あらゆるサイズのコミュニティ、社会において、その成員一人一人が意思決定に積極的に参加して、専門性を発揮することで個性を伸ばすことのできるスキームであると栗本氏は言う。国という大きな枠組みに、ある政治的なスキームをはめ込むことは容易ではないが、まず私たちの周りの身近な組織からでも試運転できることは、リキッド・デモクラシーの魅力の一つと言えるのではないだろうか。

 

[質問:栗本氏の活動の全体像について]

この記事の最後に、栗本氏の活動の全体像を伺った。

 

質問)

 これからは、栗本さんが、Youtuber教育系のファシリテーターなど色々な活動をされている中で、どのような活動に最も力を注がれているのかということを伺うことが出来ればと思います。

 

 この質問に栗本氏は、以下のように答えて下さった。

 自分でも、これとこれとこれをやっていますとまとめることは出来ず、やりたいことをやっているのだが、手法に注目すると、活動は『調べる』『深める』『まとめる』『動かす』の四つのどれかの段階に収斂される。研究や取材、データを分析するということもやってはいるし、調べたことをベースに対話や議論をし、解釈をするということもある。アウトプットをして、会議をまとめるファシリテートをしたり、表現や編集をして発信したりということもする。こういった部分はブログYouTubeにもつながってくる。さまざまなそういう自分なりの知見についてであったり、様々な人と対話して生まれた組織で一緒に政策作ったりっていうことをやっている。細かい定義があるわけでは得ないが、この四つのうちどれかを常にやっているという感じではある。崇高な理念を持って意識高くこの段階に従っているという訳ではないが、この四つの段階に従うことで継続することが出来ている。

 

 自分の興味関心のある分野について、手足を動かして実際に自分から調べ、発信していく。そんな「発信者、栗本拓幸氏」の一面を、インタビューを通じて伺うことが出来た。

 

 第二回の記事は、活動のきっかけ原動力という面にフォーカスを当てて、更に栗本氏の活動を見ていきたいと思う。

 

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第二弾の記事はこちらから⇓

leonardo-blog.hatenablog.com

*1:栗本氏のホームページより